DVの内容と解決について






こちらのページでは、DVについて、
DVがどういうものなのかということ、
そして、その解決について綴っています





〜目次〜

【はじめに】

【解決の方向へ進むには】

【ドメスティック・バイオレンスは、どのような暴力か】

【DV被害者によく見られる心理】

【まず、逃げる】

【解決に向けて】

【DVを行う加害者は、なぜ暴力を振るうのか】

【DVの加害者がDVをやめるためには、どうしたらよいか】






〜 * 〜 * 〜 * 〜




【はじめに】





これから綴る内容は、
25年前、配偶者の暴力が始まったときに知っていたかったことです






25年くらい前なので
1998年頃のことです。
DVを受ける側の経験をしました。






DV(パートナー間の暴力)に関しては、
「DV防止法」が、2001年(平成13年)4月に成立し、2001年10月から施行(一部は2002年4月1日から施行)されて、DVが犯罪であることが法的に認められました。
そして、それに伴って、各都道府県に
相談支援センター等が置かれるようになったり、民間の相談窓口やシェルターなども、いろいろ設立されていきました






そして、2013年(平成25年)の第三次改正から10年を時を経て、昨年2023年(令和5年)5月12日、法改正。
(施行は2024年(令和6年)4月1日)






この10年のあいだに、同居する配偶者や、同居する交際相手からの暴力による事件が後を絶たず、そのような状況から、法の力で被害を防止するためですね。
DVには、このような歴史があります。
 






被害者が、助けを求め、逃げる場所、命を守られる場所があること、とても重要なことです。







本当に、DVによる痛ましい事件が後を断たないから、だから、多くのひとに知られるようになったわけですが…







JIONが被害を受ける経験をした頃は、DV防止法が成立する3年ほど前で、DVという名称も、DVの内容も、一般的にはまだまだ知られていなくて、
スマホもなく、インターネットですぐに情報を得られる時代ではありませんでしたから、
私もDVの詳細をまったく知りませんでした。







『今、自身に起きていることは、DVなんだ』と知れたのは、なんとなく立ち寄った書店で、DVの本に出逢えたからでした。
背表紙にDVという文字があり、手に取りました。







娘が暴力を受けているなんてことを知ったら、とても悲しませてしまうと思い、両親にはなかなか相談できずにいたのですが、
本に書かれている内容とまったく同じ状況だったので、配偶者から暴力を受けている状況は異常事態なんだと、やっと自覚ができて、何より、自分の尊厳を大切にしていいということがわかり、涙が溢れたこと、この生き地獄を終えていいんだ、とホッとしたことを覚えています






暴力を振るう相手に問題があり、私には相手のその問題を解決できない、しなくていい、
ということがわかり、配偶者と決別の決心がつき、やっと両親に話せたことを思い出します。







最近までのセッションは、心理学やセラピーで解決のお手伝いをしていました。
現在は心理療法ではなく、事実・真相・法(仏法や道とも言われたりします)のはなしをお伝えしていますが、
今回の内容は、事実・真相・法のはなしではなく、心理学の内容になります。






DVに関しては、命の危機が迫っている場合がありますから、早急な対応をしていただきたいと思います。








* * * * * *





【解決の方向へ進むには】






DVの真の解決は、法規制だけでは出来ないんです。
暴力によって相手を殺傷してしまったという結果に罰を与えても、解決しないんです。
根本の解決ではないからです。








DVの根本、つまり、DV加害者本人の心の問題を解決しない限り、DVが無くなることはないんです。







(結局、最終的に本人でしか解決出来ないことになりますから、こういうこともあって、己事究明の道をお話しするようになりました。)







JIONのDV被害の経験、期間は約3年。
DVを受けるのをどのようにして終わらせたかというと、暴力を振るう側と物理的に離れる=離婚をして、暴力を受け続けることは終わりました
長引いたことで暴力はエスカレートしてゆきました。松葉杖になるほどの怪我をしました。JIONにDVの知識がなく、DV被害の自覚までに時間を要したからです。







「🌼という問題を生み出した原因は🌸だ」という「ものの見方」を、心理学では直線的因果論といいます
人間は、この直線的因果論で、ものごとの原因を特定したくなる傾向があります。








実はその「ものの見方」が問題をこじらせ、
悪循環を生んでいる、という事実を多くの方が知りません。
知ろうともしていないことのほうが多いです。なぜかというと、自分のものの見方、考えが正しいと信じ込んでいるからです。








人間関係、家族関係の場合、直線的因果論ではなく、円環的因果論でとらえます。
円環的因果論は、原因を一つに特定できないとすることですが、DVの場合は、円環的因果論でとらえると行き詰まってしまい、解決できません








DVにおいては、直線的因果論で捉えることで、解決の方向に進みはじめます








【ドメスティック・バイオレンスは、どのような暴力か】





DVは、大きくわけて
「身体的暴力」
「精神的暴力」
「経済的暴力」
「性的暴力」
などがあります







それぞれをもう少し具体的に書きますと、

「身体的暴力」

・小突く
・突き飛ばす
・ひっぱたく
・物でたたく
・殴る
・蹴る
・物を投げつける
・無視




「精神的暴力」

・相手の行動や交友関係を監視する
・相手の携帯を勝手に見る
・相手の人格を否定するような暴言を吐く
・自分に従わせようとする
・すべてお前が悪いと言い続ける
・脅す



「経済的暴力」

・生活費を渡さない
・働きに行かせない
・お金を何に使ったか厳しくチェックする




「性的暴力」

・性行為を強要する
・避妊に協力しない
・中絶を強要する





以上のいずれも
DV(=パートナー間暴力)にあたります。





男性が女性にDVを行う場合のほうが多いですが、女性が男性にDVを行う場合もあります








【DV被害者によく見られる心理】





DVによる痛ましい事件が起きると、なんで早く逃げないの?というような意見が必ずと言っていいほど、ネットのコメントなどで見られますが、そんな単純なことではないんです。





DVを受けている人によく見られる心理として、"自責の念を持ちやすい" ということがあります。





自責の念がとても強くなるために、
「自分に悪いところがあるから、暴力を振られるのも当たり前だ」
と思ってしまったり、
「自分がもっと良い妻(or 夫)になれば
暴力はきっとおさまる。」
と思ってしまったり、
「自分さえ我慢すれば…どうにか続けられる」
など、こういった自罰的な思考が起こりやすくなります。




そうして、暴力をふるうパートナーに取り込まれて、逃げられなくなってしまっている場合が多いのです。






なぜ自罰的な思考になるかというと、DVを一定期間に繰り返し受けることで、ものの見方、つまり認知に歪みが生じはじめるんですね。






認知が歪むと、悲しみや恐怖などの感情が鈍ってしまったり(感情鈍麻)、
痛みなどの感覚が麻痺してしまうようになってしまいます。






そうなってくると、自分が暴力を受けている被害者であることを自覚できなくなってしまうんです。







暴力を振るう側は、急に優しくなったりもしますから、それで、暴力を受けている側は、いつもの夫(妻)に戻ってくれた、もう大丈夫だ、と安心してしまいます。






なので、暴力をふるう相手に対して、
「ふだんは良い夫(or 妻)だから…」
と、かばうようになったり、
「相手の暴力を引き出しているのは自分なんだ」
と、自分を責めるようになったり、暴力を振るう側に洗脳されたような心理状態に陥ってしまう傾向があるのです。







【まず、逃げる】


DVが繰り返される関係において、
被害者にとって何よりも重要なことは、
まず、その関係から逃げること






なのですけれど、上記のような心理状態になると逃げることができなくなります。






JIONは、まさにこれでした
(それで、離婚までに3年もかかってしまいました。)






夫婦のあいだに子どもがいる場合、
親のどちらかが、どちらかにDVを行う姿を
見せ続けることになってしまいます。
父親が母親に、あるいは母親が父親に
DVをする姿を子どもに見せることは、
子どもの心に大きなダメージを与える
ことも、明らかになっています。






ですので、子育ての観点からも、
できる限り早く、DV被害者が加害者からちゃんと逃げて、DVを絶つことが重要です







DV被害者にとって大切なこと
①自分が暴力を受けていることを自覚すること
②「相手の暴力のせいで自分が苦しんでいる」「相手が加害者で、自分が被害者である」という因果で捉えて、まず自分の安全を確保すること
(子どもがいる場合は、自分と子どもの安全を確保します)






◆自分の基本的人権が侵されている
という事実に気づくこと

◆人間としての尊厳、生きていくうえでの安心と安全を取り戻す

このことが何よりも大切です







それには、円環的因果論 で捉えて対応をしていては、いつまでたっても解決の方向へ進展しません。






実際に暴力が起きている場、DVでは、
「自分と配偶者の関係、つまり自分が暴力をふるわれる関係は、自分もその一端を担っている」という考え方は、不適切ですし、不要です。






【DVを行う加害者は、なぜ暴力を振るうのか】





DV加害者は、自己愛の心理的な病を抱えています。配偶者(パートナー)を支配することで、自らの万能感を確認しているんです。そうしないと、自分を維持することができないのです。
万能ではない自分、自分の弱さを認めることができなくなっているんです。






これは、夫婦関係、恋人関係によって生じたものではなくて、DV加害者が子どものころに、親や家族との関係の中で深く傷ついた経験があって、そのときに身につけた「心の守り方」がきっかけとなっています。






ですので、
被害者が、相手の暴力行為を
「自分との相互作用の中で生じているもの」
と捉えてしまうと、解決には繋がらないんです。

被害者が自分が悪いんだと過剰に責任を感じて、苦しむだけです。






そうではなく、
パートナーの暴力行為は、
「自分と出会う前から相手が抱えてきた病」
であって、そのため、
「自分が相手の病の責任を引き受けるのは無理なこと」
と知ることで、暴力から自分を守るための対応、手段を考えることができるようになります。






【DVの加害者がDVをやめるためには、どうしたらよいか】





加害者本人が、

①自らの心の内に、子供の頃の深い傷つきがあることを自覚する

②その傷ついた経験によって建設的ではない「心の守り方」を身につけてしまったことを自覚する

③心理療法の専門家のサポートを受けながら、健康的な形で、自己愛を満たすことに取り組む(長期的に取り組む必要があります)

①〜③ような取り組みが有効ですが、
加害者本人が、自身に向き合う勇気と覚悟が必要です。






法規制によって、警告したり
罰を与えても、つきまといをやめられず
相手に執着してしまうのは、
加害者の中で、なにも解決していないからです






DV被害者がちゃんと逃げることで、
加害者は、自分の間違いに気づく機会を得ます。
加害者が、上記のような心の病があることを自覚して、健全な自己愛で満たされること、心の回復への取り組みが必要です。



この記事でお伝えした内容を、
25年前、暴力が始まったときにJIONが既に知っていたら…
長引かせず、悪化させず(JIONは大怪我しました)、長期間自責に苦しまずに済んだであろうと思います。



今、DVの状況にある方が長く苦しむことのないよう、経験がお役に立てばと思いす



DV被害者の尊厳、命が守られ、
DV加害者が犯罪者にならずに、自身の心の状態の自覚と回復の機会を得て、
どちらも平安に生きられますよう
心から願っています

最後までお読みくださり、
ありがとうございます。






0コメント

  • 1000 / 1000